ごあいさつ
平成23年度の通常総会の開催にあたり、ごあいさつを申し上げます。組合員多数のご出席を得て、ここに通常総会を開催できますことを心より感謝申し上げます。
また公私ご多忙の折り沖縄総合事務局農林水産部をはじめ沖縄県農林水産部、沖縄振興開発金融公庫、農業協同組合中央会、関係市町村各位のご臨席を賜り衷心より厚くお礼を申しあげます。
さて、わが国経済は2008年秋のリーマン・ショックで落ち込んだ景気が2009年半ばごろから緩やかな回復に入り、本年1〜3月期はプラス成長が見込まれていました。
しかし、3月11日に発生した国内観測史上最大の「東日本大震災」の影響で、日本経済に急ブレーキがかかり、１〜3月期の実質国内総生産（ＧＤＰ）は大幅なマイナス成長となりました。
大震災は、組合一番の稼ぎ時のお彼岸の最中に発生し、過去に経験したことの無い大被害を受けました。大地震・大津波・福島原発事故により港と空港の閉鎖や、空輸と陸送の緊急物資運搬優先等の規制・原発事故の避難地域の拡大・ガソリン入手規制・計画停電等の影響で関東・東北の市場のセリ機能はマヒしました。また注文品のキャンセルが相次ぎ、更に消費者の買い控えもあり価格が暴落しました。そのあおりで全国の市場が暴落し、低迷したセリ値は４月中旬までの１ヶ月間続きました。
組合はこの大震災の影響による非常事態に対し、彼岸プール共同計算期間の延長を行う事で出荷量のピーク期の山を緩やかにし、輸送パニックを回避すると共に独自に彼岸プール共同計算期間の価格補填及び運賃割れ分の補填として緊急対策費128,883千円を計上しました。また暴落した価格の回復を目指し、一時的な全量出荷停止や部分出荷停止を実施しました。更に融資と購買関係の条件緩和や緊急支援対策プロジエェクトチームを設置し、長期で低利な沖縄金融公庫の農林漁業セーフティネット資金を斡旋し組合員の経営支援を行いました。この様な状況の中、組合は農協中央会とJA沖縄の三者の合同で県と関連市町村及び関連機関へ被害状況報告を行い、菊生産農家への支援策の要請活動にも取組みました。その結果「キク再生産緊急支援事業」と「経営体育成資金融通等利子補給金」を県と市町村による支援策が決まり組合員の意欲喪失を抑える事ができました。
組合員の再生産に向けた意欲が表れて今年度の生産計画の面積は、前年計画対比103％と面積増になっています。また今回の緊急対策費の支出は内部留保を取り崩して行いますが、これも資本の内部留保に努めていたから出来た事で内部留保の重要性を認識致しました。今後も経営基盤の強化の為に内部留保と引当金の充実に努めていくべきだと痛感致しました。
県内の花卉産業は本土復帰を機に生産が始まり飛躍的に伸びてきました。しかし出荷実績は、平成6年の193億円をピークに年々減少傾向にあります。平成20年の出荷実績は119億円となり、この15年間で74億円の大幅な減少となっています。
花卉産業の経済効果は、雇用、輸送費、肥料、農薬、花箱等の園芸資材費、電気料や燃料の光熱費、ハウス施設費、農機具及び機械費等の取扱い額が大きい状況にあります。また県内の花卉産業は本土出荷が90％以上で本土での膨大な売上金額が県内に入ってきます。以上の点を踏まえますと全国一低い平均所得、全国一高い失業率の本県においては、花卉産業がもたらす経済効果は大きく、本県に無くてはならない産業だと自負しています。
花卉農協が生まれて早いもので35年が経過しました。組合員の平均年齢56歳で若干年を取り体力は落ちて来ましたが、やる気と花卉産業の発展への思いや夢は衰えていません。しかし現実の社会の変化に農家も少し疲れが来ているのも事実です。35年間の歴史を振り返って見て沖縄農業が元気を取り戻すには、沖縄振興新法による構造改革をしなければ生き残れない時代に突入しているような気がします。輸入品に対し品質や価格競争に打ち勝ってきましたが、今後は輸入品と対等に戦う為にも経費の国際競争に勝たねばなりません。来年3月に切れる沖縄振興特別措置法に代る沖縄振興新法において�’昔喊綮妻�の流通条件不利性解消制度の創設 ��沖縄型農業共済制度の見直し �２�縄農業の担い手育成基金制度の創設を組み入れる様に要請しています。
特に現在の輸入品の航空運賃（台湾、マレーシア、韓国）に比べて本県の航空運賃は高い状況にあります。この高い航空運賃の軽減の構築こそが沖縄農業の繁栄の再起爆剤になり得ると思います。若い後継者に30年前と同じ様に夢と希望のある環境を与え農業に打ちこむ事のできる様に行政の皆様の沖縄振興新法及び沖縄振興一括交付金への特段の配慮をお願い致すところであります。
結びとなりましたが、この度の大震災に対する支援策に取組まれた行政機関の皆様に厚くお礼を申し上げますとともに、なお続くこの厳しい時代の対策を迅速に進めて行く上におきましても、皆様方のご支援ご協力は不可欠であります。何卒、今後尚一層のご高配を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。組合員をはじめ、ご家族皆様方、並びにご臨席の皆様のご健勝、ご多幸を衷心よりご祈念申し上げ挨拶といたします。
平成23年7月29日
沖縄県花卉園芸農業協同組合
代表理事組合長 外間 勝嘉